最近の書店で勉強法の本をみると「過去問から勉強をスタートしよう」とか「問題集を教科書代わりに使おう」といった本が溢れかえっています。

しかし、これらの方法論は根本的な部分で致命的に間違っています。

では、これら方法論のどこが間違っていたのでしょうか?

詳しくは後述しますが、一言で言えば”脳科学”に基づいていないということです。

“脳科学”に基づいていないということはつまり再現性がないということになります。分かりやすく言い換えるなら万人に通用する方法ではないということになります。

さらに、言うならば、必ずしもあなたに合ったやり方でない可能性が高いといえます。

そこで、このページでは「問題集から勉強してはいけない3つの理由」を説明するとともに脳科学に基づいた正しい問題集の使い方を紹介します。

問題集から勉強してはいけない3つの理由

正しく理解することが出来ない

そもそも知識を習得するというのは頭の中にゲシュタルトを作り上げる作業のことをです。すごく簡単に説明すると、個々の情報の関係性によって出来上がる全体像のことを言います。

例えば、音楽を構成しているのは「ド」や「レ」、「ミ」や「ソ」、「ラ」や「シ」といった音の羅列ですが、これらを上手く並び替えると一つの曲になります。このように個々の構成要素(情報)をひとまとまりとして捉えた対象の姿、形態をゲシュタルトというのです。

そして、私達が新しく知識を習得するには、その知識に対するゲシュタルトを作り上げる必要があります。しかしながら、問題集は個々の知識を重視してあり、全体像が把握できるように出来ていません。

なので、問題集だけで新しい知識に対するゲシュタルトを作り上げることは非常に困難といえます。言い換えるなら、問題集をいきなり始めてもゲシュタルトができていないので正しく理解することが出来ないということです。

ゲシュタルト
ゲシュタルト(Gestalt)とは全体を、部分の寄せ集めとしてでなく、ひとまとまりとしてとらえた、対象の姿。形態。ウィキペディアより引用

記憶の仕方が年齢に合っていない

 海馬を研究されている脳研究者の池谷裕二さんによると、「中学生を過ぎると何かキッカケがないと思い出すことが出来ない知識のような記憶である「知識記憶」から過去の自分の経験(や知識)などと結びつけて覚える論理的な記憶である「経験記憶」に徐々に変わっていく」ということが分かっているそうです。

つまり、大人が物事を覚えていくためには丸暗記などのパターン暗記ではなく、個々の出来事を結びつけて覚える論理を主体とした記憶を使って覚えていく必要があるのです。

しかし、問題集は基本的にはある程度ランダムに作られているため、一つ一つの知識を関連付けて覚えるということが非常に困難である(ここら辺はゲシュタルトと同じですね)のに加えて、知識を保持するためにはかなり頻繁にメンテナンスをする必要があります。

パターン処理の癖が付いてしまう

問題集をいきなりするとパターン処理の癖が付いてしまう可能性が高くなります。そして、これが試験で高得点を取るためには一番厄介なものです。

パターン処理の癖とは例えば、「(——) —— or ——.」という問題があり、選択肢に「either」があった場合、よく問題を読まずに「either」を選んでしまう事を言います。

実際は、「or」という単語が英文にあり、選択肢に「either」あった場合でも後ろの単語(Telephone等)によって、他の選択肢(over等)が正解になる例はTOEICでもいくらでもあります。しかし、いきなり問題集から入ってしまうとこのようなパターン処理の罠にハマってしまう可能性が高くなります。

そして、これの怖いところは自分が間違ったと気づかないところにあります。つまり、間違っているのに正解だと思いこんでしまうため、いつまで経ってもスコアが上がらないという状態になってしまいます。

パターン処理が悪いわけではありませんし、否定しているわけでもありません。実際、このサイトでもTOEICの頻出のパターンを覚えることは推奨しています。ただ、前提となる知識を押さえずにパターン暗記をするのが危険だということです。

脳科学に基づいた正しい問題集の使い方

脳科学に基づいた正しい問題集の使い方は、参考書などで知識を身に付けた後での“知識の選別”“頻出パターンの暗記”です。

”知識の選別”

問題集を使う一番のメリットは“間違えること”にあります。

脳は間違えた問題に対して「これは重要な情報だ」と思い込む性質があります。もし脳が私達が五感を使って見聞きしている情報全てを記憶しようとするとものの5分もあれば容量がいっぱいになってしまいます。

そのため、脳は常に自分にとって重要な情報と重要でない情報に選別し、重要な情報だけを脳に送るようにし、重要でない情報は遮断しています。

そして、脳にとって「重要な情報」は、失敗や間違えたときに生じる情報やいつもとは違う情報なのです。つまり、問題集などで間違えた時、脳はこれは「重要な情報」だと思い込み記憶をしようとするのです。

参考書を何度も繰り返し読んでいるとほとんどが既知の情報となってしまいます。そのため、繰り返し読んでいると脳内では手抜きが起こり、実は脳に情報が送られていないということが起こってしまいます。

しかし、一度問題集を挟むことでまだ覚えてない知識が明確になるとともに脳内に重要情報について知ろうとする状態が出来上がるので、同じ参考書を読む場合でも取り込める情報が多くなります。これが問題集を使う一つ目のメリットです。

頻出パターンの暗記


問題集を使うもう一つのメリットは“頻出パターンの暗記”です。

マークシートの試験というのは基本的には9割近くの問題がパターンの中に当てはまってしまいます。これはTOEICのような英語の試験でも例外ではありません。ただ、それらの数が多いためにパターンに気づけないだけです。

なので、ある一定数のパターンを覚えてしまえば、後はどんな問題をやってもこれまでのパターン学習したパターンの範疇ということになり、試験において大幅に時間を短縮することが可能になります。

このパターン暗記は問題集のメリットの一つですが、あくまでも参考書などで知識を付けた後に行う必要があります。その理由は、前述した通り、パターン処理の罠にハマってしまう可能性が高くなるからです。

しかし、知識を付けた後にパターン暗記を行えば、パターン処理の罠にハマってしまう可能性は低くなります。その理由は、個々の知識に対するゲシュタルト(全体像)が頭の中に出来上がっているからです。

例えば、単純なパターン暗記をしていると、助動詞の後ろは原形というパターンを覚えていたとして、[you can(——)]の場合は原形を選ぶことが出来ますが、[you can readily (——)]となると途端に正解を選べなくなります。

実際はこれぐらいだと正解を選ぶことは可能ですが、本番だと「readily」の部分がかなり長くなったりするため、パータンから外れて正解が選べないということが起こります。

しかし、英文法の基礎をしっかりと学んだあとでパターン暗記に入ると「readily」などの修飾部分をしっかりとはずせるようになるため、間違えなくなります。

なので、あくまでも参考書で知識を付けた後に問題集でパターン暗記をするというのが正しいやり方になります。

まとめ

いかがでしたか?今回は「いきなり問題集から勉強してはいけない3つの理由」についてご紹介しました。正しい勉強の流れとしては、いきなり問題集をするのではなく「参考書⇒問題集⇒参考書」というのが脳科学に一番いい方法です。もちろん、その方法で結果を出すには正しい勉強法で学ぶことが大切です。⇒正しい勉強法はコチラのページをご覧ください。

それでは最後までお読み頂きまして、ありがとうございました。