急に頭を良くすることは出来ないがパフォーマンスを改善することは出来る

これは、健康法の本によく書かれている文言でですが、心理をついています。

膨大な量のを繰り返していると大きくなることは知られています。

例えば、世界一試験が難しいと言われているロンドンのタクシー運転手(通称ブラックキャップ)の海馬は通常の人の人よりも大きくなることが確認されている。

これは、2万5000以上の道路、交差点の名前や一方通行などの情報、それら2点の最短距離、レストランやホテル、観光名所やレジャー施設の情報や歴史等々を暗記しなければならず、しかも、それらの情報は常にアップデートされるため覚える量は膨大になるためだ。

また、フリーアナウンサーの古舘伊知郎氏は、言語を司るブローカ野が特に発達しており、ブローカ野の表面積が一般人の約2倍ほどだそうだ。

このように脳に大量の刺激を与え続ければ脳は進化する。しかし、このような現象が起こるのには年単位の時間を書けて膨大な刺激を与え続けなければならず、通常の人にはハードルが高い。

そこで、一般の人が手っ取り早く脳のパフェーマンスを上げるには体調を整えることが最短の方法になる。

本書「最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~ 」では、鬱病、肥満、散漫な集中力、慢性疲労、モチベーションの低下、不眠、弱い意志力などのパフォーマンスを下げている原因を特定し、それらを改善する方法が提示されている。

体調を整える本は最近数多く出版されており、膨大な研究や調査などから導き出されたものも多い、例えば、「HEAD STRONG」などはその代表的なもので、脳に電気刺激を与えると言ったようなクレイジーな方法まで紹介されている。

では、本書(最高の体調)がこれらの本とどこが違うのかというと、本書が一貫して進化論(人類の600万年の歴史)特に狩猟採集民との比較において構成されているところです。

これまでの体調を整える系の本は、最新の論文から使えそうなノウハウをいくつかピックアップしたものがほとんどですが、この本は狩猟採集民との暮らしと現代民の暮らしを比較しながら不調の原因を紐解いてくれているので、一貫性があり、ノウハウがスイスイと頭に入ってきます。

また、どのような栄養素を取ればいいのかで終わっている他書に比べて、本書では日本で実際に手に入るサプリメントが紹介されている。ここは、意外と重要で海外の著者の本だと、日本では薬事法などの関係で、手に入らないサプリを紹介している本が非常に多い。

さらに、本書では体調を整える系の本では、あまり語られていない目標設定や考え方などのいわゆるビジネス書や自己啓発本の内容もカバーされている。

よく考えると、体調を整えるためには「思考とカラダ」の両面から取り組むのが最適であるが、これまでの本では「カラダはカラダ」「思考は思考」と切り離されているものがほとんどだった。そう考える、両面からのアプローチを取り入れている本書は非常に理にかなっていると言えます。

一方で、少し矛盾を感じるところもあった。例えば、薬用ソープなどの抗菌グッズで細菌を殺しすぎることを問題視した直後に、空気清浄機でカビ毒を防ごうと書いてある。しかし、日本で発売されている空気清浄機は除菌効果を謳っているものが多いため、カビ毒だけでなく、有用菌も殺してしまうのではという疑問が残った。

実際、空気清浄機の使いすぎは免疫力の低下を招くという主張もある(買ってはいけないシリーズの渡辺雄二さんなど)。

ただ、全体としては日常に取り入れやすいものが多く、実践できるという面では類書に比べて勝っていると言えます。

最後にこの本を読んで強く思ったことは、「体調を整える」方法というのはある程度答えが出ているということです。

その理由は、この本で著者・鈴木祐さんが論文を読み実践した内容と先に上げた「HEAD STRONG」の著者のデイヴ・アスプリーさんが出した結論がだいたい同じだということです。

「腸内環境を整え、デジタル断食をして、自然に触れて、運動をし、しっかりと眠る」

細かなノウハウについては違いはあるがどちらも大体このような主張となっています。

どちらも最新の論文をもとにしているため、結論は同じになるのは当然といえば当然かも知れませんが、どちらも人体実験をしており、その結果が同じになるということに感慨深さを感じました。